●人口減少による需要減退とこれに伴う店舗間競争の激化は激しく、店舗ビジネスを展開する企業には厳しい環境が続いています。また、顧客ニーズの高度化や細分化は全国一律の販売施策展開による効率性から利益を生み出そうとするチェーン主義では対応しきれない状況です。つまり顧客満足を志向したきめの細かい対応ができる個店力が問われているのです。

●さらに店舗内部ではただでさえ失敗確率の高い状況で運営しなければならないのに、人材不足、人件費の高騰、従業員の高齢化やモチベーション低下などで店長はさらにもがいています。

今こそ店長が目指さねばならないのは「店長＝社長」の認識であり、自律型店長なのです。私たちの支援では、まずは自律型店長の育成を図りながら横展開すべきモデル店舗を開発します。そして店長ばかりでなく次世代の店長候補も併せて育成します。

モデル店舗の開発に成功した後はチェーン全体の改革を進めます。特にチェーン本部（商品部、販売促進部、総務等バックオフィス部門）は個店の変革に併せて自らのやり方を変革していかねばなりません。一部門だけで変革は広げようがなく、同時並行的に同じベクトルで進める必要があります。しかし、これまでのやり方へのこだわり、部門間調整の面倒さ、業者との取引スタイル等のしがらみ、抵抗勢力との軋轢など変革の前にはいくつもののりこえるべき壁が現れます。

これを乗り越えるにあたっては第三者の強制力・調整力が非常に効果があります。私たちは本部改革プロジェクトに参画し、全体をファシリテート・調整し、足りない場合はマネジメント・リーダーシップに係る知識を付与し、精神的にもメンバーを支える役割に徹する、というスタイルを採用しています。今求められるのは顧客＝個店基点の本部改革です。

●次に販売拠点ごとのモチベーションの維持については、各社ともインセンティブシステムを構築し、『頑張れば頑張っただけ報われる』、前提にはなっていることが多いと思います。全国展開販売拠点ならば拠点同士を競わせ、インセンティブシステムに競争要素を入れ込むことで大きな効果を狙うことでしょう。しかし、拠点数が少なければ競争要素を入れ込むことも難しいだろうし、競争から漏れた、すなわち万年下位に沈む販売拠点ではうまくインセンティブシステムが働かないこともあるでしょう。
●また、過度なインセンティブは個人主義を助長し、不正を誘発することもある他、短期的視点で業績確保に動き人材育成など中長期的視点が必要な分野の動きを止めるなど負の側面も多々報告されています。

　そこで私たちがお勧めするのは、販売拠点組織の内発的動機付け。人間のモチベーションは外発的動機付け（一生懸命働けばボーナスがもらえる）とともに内発的動機付け（お困りのお客様に満足していただきたい）で形成されています。内発的動機付けはいわば心の中にあるドライブ。しかし内発的動機付けは個々の心の中にあって、放っておいたら組織内メンバーのドライブは同じベクトルには向きません。そこでこれを動かしてもらうためには“仕掛け”が重要です。

●私たちの“仕掛け”は自らの販売拠点組織におけるＭＭＶ（ミッション・ビジョン・バリュー）を作り上げるところから始めます。本社やメーカーに押し付けられたものではなく、自らの組織が置かれた状況に適合する目的・目標・理念・価値基準を自ら立案するのです。これによりドライブのベクトル方向が統一されます。

●その上で、これを実現するための方法については研修等において各情報を得ながら、こちらも自ら目標・計画を策定し、これを推進します。討議の中から協力姿勢を引き出すことは非常に重要です。

●私たちはあくまでもコーチであり、ファシリテーターに過ぎず、こうして自律性を重視しながら組織に眠る内発的動機を刺激し、引き出しています。

サービスの新規開発や変革において、最初にやるべきことは社内のベクトルを合わせることです。変革がなぜ必要なのか、自社や業界はどのような状況なのか危機意識・問題意識を共有してスタートを切ることが大切です。また、どうなっていればOKか、何を目指して変革を進めるのか、というあるべき姿も共有しておく。

コロナ感染拡大を経てニーズが変化した業界も多く、お客様が何を求めているのか、優先しているのかアンケートやヒアリングを通じて現実を知り、どのようにコアサービスの付加価値をリモデルするのか、周辺サービスをどのように設計するのか検討する。加えてライバルたちのサービスも研究して、トレンドを理解しながら差別化を図る視点も入れる。お客様視点でのサービス検証プロセスは、サービス改善の効果だけでなく従業員の視野拡大と社内の問題への自分事の意識醸成も効果がある。

お客様と対応する現場スタッフの働きやすさやモチベーションの状態がサービス提供に影響を与えます。現場スタッフが何を問題だと思っているのか話しを聞き、スタッフが働きやすいように環境を改善したり、理念・ビジョン・目標をスタッフにも説明して貢献度を感じることでモチベーションを上げたりして、スタッフたちの満足度を高めていく必要があります。そうすることで、お客様の困り事を聞いてサービスに活かし、お客様への提案も増えて現場でサービス改善をしながら売上を向上させることができる。